Normandie(2009.10)
| コース | 宿泊地 | |
| 10/15(木) | Narita→Paris | Paris |
| 10/16(金) | St.Denis Paris→Rouen |
Rouen |
| 10/17(土) | レンタカーを借りる StMartin-de-Boscherville、Jumieges、Quillebeuf-sur-Seine、St.Jean d`Abbetot |
St.Romain |
| 10/18(日) | Maneglise、Montivilliers、Caen | Caen |
| 10/19(月) | Thaon、Secqueville、Rucqueville、St.Gabriel、Cerisy La Foret | Valogues |
| 10/20(火) | Tollevast、Barneville、Lessay、Domfront | Alencon |
| 10/21(水) | St.Ceneri le Gerei、Bernay レンタカーを返す Rouen→Paris |
Paris |
| 10/22(木) | Chartres | Paris |
| 10/23(金) | Paris | |
| 10/24(土) | →Narita |
エミール・マールの著作を学ぶうちに、ロマネスクからゴシックへの移行をみるうえで、サン・ドニの扉口とシャルトルのステンドグラスを避けて通ることはできないと感じ、パリに向かいました。加えて、以前から訪れる必要があると考えていたノルマンディー地方の教会堂を巡ることにしました。
10月中旬のノルマンディーは既に寒風の中にあると覚悟していたのですが、幸いにも大西洋に面した温暖な土地で、美しい紅葉が迎えてくれました。
ノルマンディーは比較的小さく回りやすい地方との印象でしたので、5日程度を充てたのですが、予想に反し広大な地域に教会堂が点在しているうえ、サン・ジョルジュ・ド・ボシェルヴィルやジュミエージュ、ベルネーでは開扉時間を待ったり、セリジー・ラ・フォレでは閉鎖日があったりで、相当きつい日程になってしまいました。このため、以前訪れたことのあるモン・サン・ミッシェルは、今回は省略せざるをえませんでした。
それでも、緑に包まれ小川のほとりにひっそりと立つターンの教会堂、真紅に紅葉した木々に囲まれたサン・セヌリの教会堂など、ノルマンディーの美しい自然を満喫することができました。
ノルマンディーでは、ロロによるノルマンディー公国の建国とキリスト教改宗を受けて、11世紀初め頃から、諸侯や領主たちにより、積極的に教会堂の建設が始められました。そして、短期間のうちに、カロリングとオットー朝の建築意匠等を吸収し、ノルマンディー・ロマネスクというべき独自の建築体系が出現します。
木造天井と堅固な石壁のバシリカ様式により広大な容積と高さを実現し、高窓による直接採光、トリビューン、トリフォリウムの採用による重層的な立面構成、強弱交互の支柱列による空間の分節、加えて身廊と翼廊の交叉部やファサード上部の両側に塔を設ける等、上昇性の強い、内部空間の広い、光に満ちたノルマンディーの教会堂は、フランス、イギリスの盛期ロマネスクの大規模な教会堂の建築に多大な影響を与えました。
さらに、12世紀初めには、交差リブヴォールトを先駆けて使用することにより、リブによる骨格構造ともいうべきゴシック教会堂の誕生に道を開きます。
このように、ノルマンディーでは、建築については極めて革新的であったにもかかわらず、彫刻、壁画等の装飾に関しては控え目で、装飾するにしても抽象的なものが好まれました。同時期に南フランスやカタロニアで開花し、ロンバルディア帯や彫刻、壁画での装飾を試みた西欧南方の「初期ロマネスク」とは、造形理念が全く異なるものということができます。
私個人としては、南フランス、カタロニア等の、幻想的な内部空間をもつ、地に這うような小規模なロマネスク教会堂に惹かれてきたこともあり、スケールが大きいノルマンディーの教会堂には余り興味を感じなかったのですが、今回巡ってみて考えを改めました。
ベルネー(1013年頃着工、1050年頃完成とされる)、ジュミエージュ(1037年頃着工、1069年頃完成とされる。現在は廃墟となっています)、カーンのラ・トリニテ(1060年頃着工、1080年頃完成とされる)、同じくカーンのサン・テティエンヌ(1064年頃着工、1077年頃完成とされる)、サン・ジョルジュ・ド・ボシェルヴィル(1050年頃着工、1114年頃完成とされる)は、ノルマンディー・ロマネスクを代表する教会堂ですが、ロマネスクとしては巨大な教会堂であるにもかかわらず、双塔を持つすらりと立ち上がった無装飾のファサード、明るくリズミカルな内部空間は決して威圧的ではなく、ロマネスク特有の繊細さと愛らしさを感じさせます。
「ノルマンディーを訪れてよかった」と幸せな感動を胸に、帰ってくることができました。
既に紹介したとおり、ベルネー、ジュミエージュ、サン・ジョルジュ・ド・ボシェルヴィルには開扉時間があります(例えばジュミエージュでは、9月中旬から4月中旬までの間は午後1時から2時30分まで受付が閉鎖されます)。また、セリジー・ラ・フォレは月曜日には門を開けません。訪れたのは運悪く月曜日だったので残念ながら入ることはできませんでした。
ほとんどの教会堂は扉が開いていて中に入ることができましたが、ターン、ルッケヴィルは鍵の持主が見つからず断念しました。
ノルマンディーの教会堂はまだ余り紹介されていないように思いますが(ゾーディアック叢書のノルマンディー1・2のほか、最近ゾーディアックからルート紹介の小冊子が出版されています)、ノルマンディー・ロマネスクの代表作といわれる教会堂のほかにも、沢山の魅力的な教会堂があるように思います。再度、十分な時間を取って巡ってみたいと思います。
今回訪れた教会堂の中から、ノルマンディーの美しい自然に包まれた2つの小さな教会堂を紹介しましょう。